人類無敵計画

人類無敵状態の世界へ

『アートの常識は更新されていくのかもしれない』岡本知之

約 11 分

『今年はあれが流行ったね。』

年の瀬になると、そんないっときの注目を浴びた人に対する話題が増えていく気がする。

表舞台で活躍するために、努力して、時には運の力に背中を押されながら夢を掴みにかかっていく。

TVで見かける人が年々変わっていったり、消費されている人を見ると、『表現』をする人が生き残っていくのはほんの一握りである。

そういった、イメージが私たちの中にはどこかで刷り込まれている。

TVというエンターテイメントの中だと消費をされていくような世界であるという印象を受ける。

一般の人が普段から目にしないような、どこかリッチで煌びやかなイメージのあるTVの世界とは違う『表現の世界』では、なおさら難しいのではないのか。とどこかで思っていた。

そんな時にご縁をいただいたのが、岡本知之さん。(FB

岡本さんの職業は画家。

今まで一切自分から営業や売り込みをかけたことがないようで、オーストラリア、ヨーロッパ、アメリカと、どんどん世界へ拡大しているのです。

 

 

30歳から画家を目指し、たった5年でヨーロッパなどの世界に絵を送り込むことになりました。

 

 

そんな彼の話をアーティストとして聞くと、正直、かなり異色で不可思議な印象を受けるのです。

そして、話を聞きながら、一瞬、理解が追いつかずに混乱することもありました。

ただ、ビジネスマンとして聞くと、とっても真っ当で興味深い話でした。

表現に携わっていているけど、どこかでもっと自分は評価されても良いはずだ・・・って思っている人には、読んでみると自分の中にあるなにかとの化学反応が起こるはず。

全てをまるっとは受け入れることができないにしても、自分の中に新たな視点、あるいはそれ以上のやる気を手に入れることができる記事にしています。

ただ、実は起業家の方にとって自分に活かせる話になっているインタビューです。

『絵をやっているってことは、自己実現の手段として捉えています。』

そんな一言から始まったインタビュー。

そもそも、アーティストは表現をすることが大好きだからその職業に就いた。

そういった前提が一言目から覆されて始まりました。

:表現されている方でその思考を持っている人って珍しくないですか?

岡本:どうなんですかね。僕、今オーストラリアの会社でマネジメント受けてますけど、世界では普通って言われますよ。

世の中が移り変わっていくじゃないですか。いい絵を書いたら認められるっていう時代は過ぎてるんですよ。いい絵はかけてて当たり前で、その先のセルフプロデュース能力、マーケティング能力っていうところでの勝負になってきている時代になってきてると思ってます。

日本以外は、やるからにはプロ。そして、自分はどうやったら世間に認められるのか、必死で考えているんですよね。なので、日本はちょっと特殊な島国なんですよね。

 

 

:いつから、そういう視点を持っていたんですか?

岡本:最初からかな。商売として成立させたいっていうところが大きかったので。30歳スタートですけどね。

:それすごいですよね。

岡本:それまでダラダラダラダラとフリーターやってたんですよ。

一番の特技の絵の部分を否定されて生きてきたから、何やるにも無気力で、神経質で常にイライラしてました。ただもがいていただけって感じです。

人間、30手前、人生このままでいいのかな、他の道があるんじゃないか。って絶対考えると思うんですけど。

一度きりの人生勝負しようと思ったんです。全て手探りで、自分が正しいかどうかなんて全くわからないですし。

 

アーティストとして勝負すると決めて動き出した時に、現実に直視したんだそうです。

実際にアーティストとしてお金をもらっている人は本当に少数。本業だけでは食っていけないから、スクールでの講師業が収入のメインになっている人。

『アーティスト』という肩書きにすがりついて、自分らはアーティストだから世間とずれててもいいんだ。っていう自己正当化のための方便に使っている人。

ただ、そこで、絵で食べているプロの画家との出会いがありました。 その方が唯一の理解者との思い、弟子入りを志願したそうです。

 

岡本:『絵は商売や。人を喜ばせる商売や。まず、金払ってでも欲しいと思わせることができなかったら話にならん。自己表現はそのあとや。』それが目から鱗で、俺が望んでた人はこの人や!!!って思ったんですよね。

:弟子って何をやるんですか??

岡本:その先生が画家としての仕事とは別に、壁画制作の会社を日本で最初に作ったんですけど、その助手として、チャペルの天井とか描いてました。もう、大変でしたね。

2ヶ月くらいして、チャペルの仕事が終わって先生から『この仕事させたら、その人の底力が一発でわかんねん。お前底力あるわ、俺の所までこれるわ。あとは、自分でやれ。』って言われて卒業したんですよ。

:ちなみに、その卒業した時はおいくつだったんですか?

岡本:32ですね。

:出世はや・・・・・!!!!!できませんとか、感情のブレとかなかったんですか???

岡本:ただやるだけ・・・!この人についていけんやったら、無理やって思ってたんで。

初めて出会った、絵だけで食えてたプロの存在でしたから。この人を物差しにして自分を測って、この人についていけるんやったら、俺はプロになる。

師匠にも『絵の書き方は自分で考えろよ。それ以外のことを教えてやる。』って言われてました。

:それ以外とは・・・・???

岡本:結局戦略ですね。

:(もはや経営者・・・・)

岡本:『どうやったら岡本さんみたいになれるんですか?』ってよく聞かれるんですけど、どこまでやりたいの?どこを目指すの?そこがハッキリしないと、アドバイスをしようがないから。

僕みたいにヨーロッパで世界基準で勝負したいって思っているのか。

そもそもプロになりたいかどうか。絶対なりたいのか、なれたらいいのか?で全然違ってきますね。

自分が自分っていうものの社長であり、広報であり、商品であり、その辺全部わかってるか?ってことなんですよ。

絵が売れたら寂しいって、自分が子どもを嫁入りさせた感覚がある人もいるみたいですけど、何言ってんねん!残ったら、それ在庫じゃないですか。

在庫が残ってるって、普通に商売として考えたら大失敗ですよね。

ちゃんと商人ってことを理解できているかってことですよね。

小さいことをコツコツ重ねていったら、いつかどこかへ届くやろうっていう漠然とした希望的観測でやってるから、どこにも届かない。先にどこ行きたいか決めてないからね。

:(すごい)

 

それからは、人に誘われたライブペイントを披露するイベントで空気が変わるくらいの圧倒的な吸引力と、お客さんからの信頼を得てたのをきっかけに、営業をせずとも、一気に仕事が増えて行ったそう。

そして、33歳の時に、オーストラリアのマネジメント会社にスカウトされ、そこから、シドニー、メルボルンに行って、キャリア5年でヨーロッパからもオファーが来たという、夢をどんどん叶えて行っている。

その秘訣はやっぱり、最初の『絵は手段である』という一言に戻る。

そして、その考えがあるからこその、岡本さんならではの面白い視点の話を聞かせていただいた。

 

岡本:僕ほど『絵は手段』って徹底してる人は見たことない。

ただ、好きこそ物の上手なれって言葉がありますけど、絵に関しては、好きなやつはやらない方がいいかもしれない。

なぜなら、仕事として、ちゃんと商品として成立させることができるために色々言われるんで、自分の描きたいものが描きたいようにかける訳じゃないです。

僕はプロ思考強いから、言われたことは全部やりますし、逆に向こうから面白くないから自由にやってくれって言われます。笑

『青』を使うっていうのと、コンセプトとして、『椅子とテーブル』を使う以外は、自由にって言われます。

:青??

岡本:はじめは、青の絵の具が余っていたんで使っていたんですけど、『青は綺麗』って言われていたので、これ使えるんちゃう?って思ったんですよ。

冷静に考えたら、地球って太陽光線が当たりますよね。太陽って、周波数ってあるんですよ。

赤い光は周波数が長い、紫に近づいていくほどにだんだん周波数が短くなっていくんですよ。

赤い光は地球の中心に流れて行って、紫の光に近づけば近づくほど、大気に影響を受けて、極点の方に流れていくんですよね。

だから、赤道って言うでしょう。

日本列島って南北に長いじゃないですか。沖縄の花って何を思い浮かびます?

:ハイビスカス?

岡本:それをイメージする色は?

:赤!!!!

岡本:北海道といえば?

:え・・・なんだろう・・・・・。あ、ラベンダー???

岡本:そう。紫の光が強いから、紫の花が育つんですよ。

となると、ヨーロッパって緯度が高いんですよ。

極点に近いから、寒色系のものが強く印象に残るってことじゃないですか。

そしたら、赤や黄色の暖色を使うより青を使えばいいじゃん。って。ヨーロッパ目指してるんやったら、このままこれでいけばええやん。って考えました。

数年前に画商さんにアンケートをとったことがあって、どういう絵が売れるのか?絵の支配色、何色の絵が売れるのか?ってアンケート取った時と、風景画が人気で、青が人気だったんですよ。理にかなってるでしょう。

:絵の具の色まで・・・・・戦略的すぎる・・・・!

岡本:全部計算で出るやんって思ってます。

:間違い無いです・・・!!!笑

じゃぁ、椅子と机はなんでですか?

 

 

岡本:作品に入ってきてもらいやすいんですよ。

例えば・・・椅子とテーブルがあるじゃないですか。この作品世界に人物を自分で想像してもらうとすると、この風景の中に行きたいな。って思うところはどこですか?

:ああ~~~~~!笑 座りに行く!

岡本:この世界に入りやすくするための装置ですね。

最初はいろいろと書いて、リサーチをしっかりしてます。どの絵に対して、どんな反応があったかな。とか、絵を買った人はどういう理由でその絵を買おうと思ったのかとか、リサーチしてます。

2つあるから、1人で座ってもいいし、友達と、パートナーと座ってもいい。作品世界が広がるでしょう?そのための装置です。

抽象画がわからないって人のためにも、椅子とテーブルをおいて抵抗感をなくす。

 

 

:これ、オープンに言っちゃって良いんですか?

岡本:結局ちゃんと理解して、真似しないと結局真似になりきらないので。

:(確かに・・・。)

 

 

正直、アーティストの方とこんな話になると思っていなくて、びっくりしましたよ。

論理的に考え尽くされたアート。

論理と感性、両側面からの表現という捉え方をしたら、その思考を選び取ることもアートなのか・・とか、思うようになって来ました。

最後に、原動力、そして、今自分に違和感や、モヤモヤを感じている人への質問を投げかけさせていただきました。

 

:原動力はなんなんでしょう?

岡本:どこまでも突き抜けたいっていう思いですかね。30歳まで人生低空飛行できたから、反動なのかもしれないね。

:自分の本当の目的が見つけられる人と、見つけられない人がいると思うんですけどこの違いはなんだと思いますか?

岡本:その前段階で、自分が何ができるのか探しているのか?って思うんですよ。

結局、自分と向き合っているかっていうことですよね。人によって違うので、自分にあった生き方をする。

:最後に、『私、どう生きて行ったらいいだろう??』ってモヤモヤしている人が前に進んで生きて行くためには、どうしたらいいですか???

岡本:モヤモヤしている人は、たぶんね・・・。自分とちゃんと向き合ってないんですよ。

いろんな情報を入れ過ぎて、夢ってこういうもの。っていうのを先に設定して、自分とのギャップを意識しちゃっているのかもな。

逆に情報を遮断する、他人というのはあくまでも参考にするもので、比較するものではない。と思って、自分に向き合うことですね。

 

 

毎年、世界に絵が出展されるものの、ご自身は足を運ばないらしい。

『文化交流として考えているんじゃなくて、マーケットとして捉えているんで。』

 

私はここまで割り切ったアーティストさんに初めて会いました。

感性と論理を統合した、新しい感覚をアートしているような印象を受け、時代の変化、進化を感じたインタビューでした。

Interview 原菜摘(@muteki_keikaku

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